天疱そう、類天疱そう (内田町、平井町、福瀬町エリア いのうえ歯科)
天疱そうとは、皮膚に発生する上皮細胞間の相互の連絡(接着)が失われ(棘融解)、上皮内に水疱または裂隙を形成する自己免疫的な水疱症である。
尋常性、増殖性、落葉状天疱そうがあり、尋常性天疱そうの発生頻度が高い。この天疱そうの全体の3分の2の症例は、まず口腔粘膜に初期症状を呈し、ついで顔面、胸部、腹部などの皮膚に水疱を形成していく。30-50才代の女性に多く、水疱は容易に自壊し、びらんを呈するが、口蓋以外にみられることはまれである。
一見健常そうな粘膜も、擦過すると容易にはがれ、易出血性のびらんを呈する(ニコルスキー現象)。尋常性天疱そうは歯科医師にとって、非常に重要な疾患であると思われる。類天疱そうは、組織学的には棘融解はなく、表皮(上皮)下に水疱を形成する水疱症で、水疱性類天疱そうと粘膜類天疱そうの初発部位は口腔内がもっとも多く、ついで眼に症状を発現する。口腔内では歯肉や頬粘膜に水疱形成がみられ、歯肉のびらんは剥離性歯肉炎と診断されることが多い。